『つい見て見ぬふりするクセ』に対して、見て見ぬふりしていたり…
今回は…シンポジウムでのブレイクタイムをご紹介です。
茨城県はつくば市にある筑波大学・筑波キャンパス。
キャンパスはもちろんのこと、つくば国際会議場などにもかなりの頻度でお伺いしています。
(この日〈11月吉日〉を含めて、2019年9月~11月間で8-9回は来ているはず…)
少し前のことになりますが、この日はBuild Scicomm2019という国際シンポジウムでのご相談をいただきました。
シンポジウムのテーマは「サイエンス・コミュニケーション」です。

今回のブレイクスペースはこちら。やさしい陽ざしがさし込みます。
世界中から専門家が集まるこのシンポジウム、ブレイクは3回です。
今回のMENUは…
- 3種のホットコーヒー〈回替わりのブレンドにて〉
- 紅茶&緑茶〈ティーパック〉
- ミネラルウォーター
- クッキーメインのアソート〈包装なし〉
- キャンディー

カウンター全景。外の景色も素晴らしくとてもいい立地でした。

こちらはドリンクのコーナーにて。コーヒーは回替わりです。

こちらはお菓子のコーナー。左端以外で包装がない理由はというと…
「脱・廃プラスチック」という意識、そしてご要望
今回ご依頼をくださったのはシンポジウムのチェアーを務める外国人の先生。
その先生と打ち合わせをしている際のことです。
「できる限りで、使い捨てのプラスチックを使わない方法はないでしょうか?」
というご相談を受けました。

今回のお菓子で左端のキャンディーのみ個包装ビニールです。
それは環境問題への懸念を案じて、のことからでしょうか?とお伺いすると
「そうです。ご存知だと思いますが、もはや世界規模で廃プラスチックが招く影響に対し、見て見ぬふりができなくなってきています」
ちなみに日本だと廃プラスチック発生量は940万トン/年だそうです。
さらに日本に限らず、世界中で処理しきれないプラスチックは海外の途上国や土地の広い国へ輸出され処分されていたりするのが現状。

2017年に中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことは衝撃的でした(図出典:環境省 環境再生・資源循環局より)
「この大学ではこれからのことに対して、色々と研究しています」
「これからのこととは未来へのことが沢山あります。ならここにいる私たちが率先してまずその見本にならなくてはいけない」
「これはとても難しいことだけど、私も、同じ研究をする皆もそう考えています」
この言葉には思わず目を見開くほど大変な衝撃、そして感銘を受けまして
僅かでもその一助になれれば、という気持ちで具体的な打ち合わせを進めました。
具体的にどんなもの?
しかしながらどうしてもスタンダードなプランよりコストはかかってしまいます。
そちらをご理解いただけるのであれば…とお伺いをしたところ
「もちろんそれを理解の上でのお願いですので」とご快諾をいただき、下記を提案です。

ミルクは常温保存可能牛乳をミニ・デキャンタの瓶で使用。念のため提供時以外は冷やしておきます。
・ミルク⇒個包装のポーションミルクから、常温保存可能な牛乳を瓶に入れて使用
・マドラー⇒プラスチック製から木製のものに変更
・クッキー類⇒1枚1枚が個包装でなく、大袋または紙製の袋のものを探して使用
・ミネラルウォーター⇒ペットボトル1本1本配布でなく、大容量のものをリユース可能なドリンクピッチャーに

キャンディー、ビタークッキー、バタークッキー、四角いものはウエハースです(ハラール対応)
当然ご予算には限りがあります。その中からできる限りのことを探すのが職責です。
先生のご希望ご予算で必要なところは固め、抑えられるところは抑えてバランスを取り今回のような形となりました。
キャンディーのみ個包装なのは「ブレイクよりもセッション中などに喉湿しとして口に含む」という想定からやむなく。
(*皆さんポケットなどに入れてお持ちになられました)
ブレイクの様子は…

明るいブレイクスペース。とても和気あいあいとしていました。

今回は70%が外国人の方々です。

ムスリムの方もいらっしゃいます。ハラール対応のウエハースもご用意しております。

外国の方はやはり「牛乳=ミルク」が一般的。ちょっと多めにご用意しました。
「素晴らしいです。このコーヒーもおいしいし、飾りつけも素敵ですね。あなたに頼んでよかったです」
コーヒーを片手に先生からこんな言葉をいただきました。
ダイレクトな距離での感想は殊更に嬉しいことです。

3回のブレイクとも非常に良い雰囲気でした。
ブレイクは全て無事終了です。

シンポジウムの1枚。壇上でお一人掛けされているのが今回ご依頼の先生です。

今回参加されている方の作った知育ゲーム。実はかなり有名な方とのこと…
今回のご依頼を顧みて思うこと
3回目のブレイクが終了し、シンポジウムが始まる直前にご挨拶、撤収そして帰路へ。
高速道路が渋滞していたせいか、ふといろいろ省みたりも。
はたしてこちらに限らず、お問い合わせで「脱・廃プラスチック」のご要望が明らかに増えていると感じる昨今。

使い捨てのカップを使わないというご方針で、会議の参加者にタンブラーが配られた例(お客さまご用意)
とはいえこれだけ溢れているプラスチックからすぐに距離を置くのは本当に難しいというのも事実。
すっかり夜になった高速道路を走りながらそう思いつつも
「これは難しいこの問題は難しい、だからやりようがないので仕方ない、誰かがやるだろう」
という見て見ぬふりを少し控えてみて
自分にできる小さなことを続けてみたら、自分の足元くらいは変わったりするのではないかと思えたりもするのです。
今回のご依頼も、貴重な体験をさせていただきましたことに深く感謝です。
〈了〉